オススメ度 ★★★★
(この分野に関わる人すべてにおすすめ)
1. 内容
初期研修医向けの栄養療法の本です。
内容は、学生時代の講義では教わらない「食事オーダー」の基本から始まります。研修医と指導医の対話の中で、“栄養状態が悪いとリンパ球の機能障害、抗体産生低下が起こり免疫能が下がること”、“入院患者の栄養状態を管理することは疾患の治療を助ける意味で重要であること”が説明されていきます。
じゃあ、どのように栄養状態を評価すればいいのか?……栄養状態を知るにはどこを評価すればいいのか?……血清アルブミン濃度だけをみればいいのか?……といった疑問に対する回答が対話のなかで明解に解説されていきます。
2. 本書の特徴
羊土社のシリーズでは恒例ですが、研修医と指導医の対話形式で、平易な言葉を用いて、馴染みやすく通読しやすいです。内容はひとつひとつステップ式に理解が進むため、栄養の本にありがちな無機質な表の羅列がなく文脈に沿って理解できます。
3. おわりに
緊急入院の必要な内科患者はほとんどが栄養不良の状態でやってきます。
最近は早期の経腸栄養の重要性が色々な疾患のガイドラインでも取り上げられつつありますし、内科入院を受け持った時には原疾患の評価のみではなく栄養の管理も当然主治医に必要なことです。座学を疎かにしがちな分野ですが、研修医のうちからしっかりと“はじめの一歩”を学んでいるかどうかで、医師によっても栄養に対する観念にかなりの違いがあるなと実感しています。本書のような通読しやすい一冊を読んでおけば、次のさらなる勉強に繋がるのでお勧めです。
続編が出ていますので、そちらもオススメです。
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