第2版が発売されてから約8年ぶりの改訂のようです。
オススメ度 ★★★★
(この分野に関わる人すべてにおすすめ)
1. 外観
目を引くのが「熱・白血球・CRPから解放される1冊」とデカデカと書かれている帯です。感染症を診るうえで当然のことですが、上記の3つのパラメータに囚われていると感じることは少なくありません。熱も白血球も正常値なのにCRPだけが陽性で困ってしまうことが多々あります。肺炎であれば呼吸数、動脈血液ガス分析など種々のパラメータを用いて総合的に評価するのが当然ですが、なかなかその呪縛から逃れられない人にとって道しるべとなる本ではないかと思います。
2. 内容
感染症診療の一般的原則から始まり、全身の臓器別感染症が各パート毎に分けられ、予防接種や旅行・熱帯感染症までカバーされています。それぞれの感染症の疫学から予想される臨床経過、抗菌薬治療を開始する基準、抗菌薬の処方例まで記載されており、経験の少ない自分のような者にとって、具体的な処方例が書いてあるのは大変ありがたいです。例えば、肺炎であれば起炎菌別、重症度別に勧められる処方例が記載されています。抗菌薬が効かなかった場合にどうすべきか、何を考えるべきかについても書かれており、目から鱗が落ちるようです。
3. 本書の特徴
① とにかく細かく、他を寄せ付けない圧倒的な量の内容
② 第3版は青木先生以外にも各章をそれぞれの分野のエキスパートが執筆
③ 分厚いので持ち運びには不便、辞書的な活用法に限られる
4. おわりに
感染症領域でのベストセラーの改訂版です。
感染症(特に全身にわたる疾患)を診る機会のある人にとって、非常に価値の高い本だと思います。「レジデントのための」というタイトルですが、経験を問わず活用できると思います。もちろん内科研修医は本書を一冊手元に置いておけば必ず役に立つ良著であることは間違いありません。
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