オススメ度 ★★
(専門知識を学びたい人におすすめ)
1. 内容
全編にわたってクリニカルクエスチョンを主体とした検査・治療の推奨度およびエビデンスが記載されています。本ガイドラインのなかで目立つものでは、血中・尿中膵酵素の感度は高くない(特異度は高い)、血中・尿中膵酵素での重症度判定は多くの例で不可能(ERCP、EUSなどの画像検査で行う)、腹部単純X線写真は慢性膵炎の診断に有用、慢性膵炎と膵癌やIPMNの鑑別診断が必要(腫瘤形成型ではEUS-FNA、腫瘤を呈しないものでは膵液細胞診、膵管擦過細胞診)、遺伝子検査は慢性膵炎の診断に有用(ただし、特異的な治療法はなく保険診療が適応されず高価で経過観察の方法論が確立されていない)、慢性膵炎のスコアリングシステムは確立されていない……などでしょうか。本書の後半は外科的介入や膵性糖尿病についての記載が多い印象です。
2. 本書の特徴
最新の慢性膵炎診療ガイドラインです。2015年時点まで蓄積されたエビデンスでわかっていること、わかっていないことが明示されています。クリニカルクエスチョン形式(1問1答)なのでスイスイと通読することができます。
3. おわりに
今回のガイドラインを読んで思ったことは、血中膵酵素の感度が30%程度なので、画像検査の限られる医療施設(特にCT/MRI、EUS-FNAができない施設)では、慢性膵炎を慢性膵炎と確定診断することは難しいのではないかと思いました。そういった施設で勤務することになった場合には、丁寧な病歴聴取を心掛けて、慢性膵炎による腹痛を見逃さず適切な施設での治療へと繋げられるように本書を熟読して知識を付けておきたいものです。
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- 作者: 急性膵炎診療ガイドライン2015改訂出版委員会,日本腹部救急医学会,厚生労働科学研究費補助金難治性膵疾患に関する調査研究班,日本肝胆膵外科学会,日本膵臓学会,日本医学放射線学会
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