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【2019-2020版】日本内科学会 認定内科医試験 受験記 【試験対策】

■ はじめに

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2019年7月7日、認定内科医試験を受験しました。
 
これまで「剖検」を取ることができない病院に勤務していたため、同期と比べてかなり遅くなりましたが、今年ようやく受験することができました。
 
認定内科医試験は2020年で最後となりますが、私が使った教材等について書きたいと思います。
 
来年度の受験生のために、少しでも参考になれば幸いです。
 


■ 認定内科医試験とは?

一定レベル以上の実力を持ち、信頼される内科医を「認定内科医」として、さらに高い水準の内科診療能力を備えた認定内科医を「総合内科専門医」として認定する。
※日本内科学会HP(https://www.naika.or.jp/nintei/seido/tebiki/tebiki01/#1)より引用

 
上のような目的がありますが、現行の制度では各専門医試験を受験するうえで取得しておく必要があり、登竜門のような試験です。
 
 


■ 認定内科医試験の試験内容

・問題形式はマルチプルチョイス方式
日本内科学会HPのQ&Aに詳しく書いてあります)。

・問題数は全300問。

・試験時間は100問 120分×3回。途中60分・40分の休憩があります。

・試験内容は全体的に国家試験に+αした程度の問題
 → 自分の専門分野であれば余裕で解ける(……はず)

・内科全分野からまんべんなく出題される。
 → ヤマを張ることはあまり効果的でない。

疾患名そのものを問う問題は少ない。

疾患に特徴的な症候や検査を問う問題が多い

・一方で、非常に初歩的な問題もポツポツみられる
 → こういった問題を落とさないようにしたい。
 
 


■ 2019年に出題された主な内容(印象に残ったもの)

・ALSの治療薬 → リルゾール
・皮膚筋炎の抗体 → 抗MDA5抗体
・多発性硬化症 → オリゴクローナルバンド
・アレルギー性気管支肺アスペルギルス症 → CTで高吸収粘液栓
・ウイルス性肝炎(A・B・C・E型)すべて
・IgG4関連疾患
・クリプトコッカス感染症
・強直性脊椎炎 → HLA-B27(+)
・胸腺腫 → 重症筋無力症
・急性好酸球性肺炎、慢性好酸球性肺炎それぞれの臨床像
・ALL+フィラデルフィア染色体(+) → イマチニブ
・ADPKD → 脳動脈瘤の合併
・薬の副作用関係
(抗甲状腺薬や妊婦に禁忌の薬剤など、3-4問は出題された気がする)
・サルコイドーシス、アミロイドーシスも多数出題
 
ほか、症例問題も多数。
とにかく全分野からまんべんなく出ます
各分野の基本的な疾患はすべて出ると考えておいてよいです。
 
 


■ 私が使用した教材

・イヤーノート内科・外科編
・クエスチョン・バンク医師国家試験問題解説 vol1-vol5
Q-Assist 内科・外科 ※オススメ
データ・マニュアル 各論 内科・外科編 ※オススメ
・日本内科学会HPの過去問集

イヤーノート 2022 内科・外科編

イヤーノート 2022 内科・外科編

  • 発売日: 2021/03/05
  • メディア: 単行本
 
まず内科学会HPの「過去問」を購入して解いてみると、5割程度しかわからず、しかも解説もないため焦りました。……かといって、イヤーノートを前から全部読みこむのは非効率的で現実的ではありません。
 
各予備校から認定内科医のために試験対策用の講座の販売もされています。
 
しかしどうせやるなら内科全体を復習したいと思い、クエスチョンバンクをvol1-5まで買いました。クエスチョンバンクを購入したのはQB onlineとQ-Assist目当てです。QB vol1-5まで購入すると、QB onlineとQ-Assistという講義を視聴することができるようになります。
 
データマニュアルの総論も購入しましたが、あんまり使いませんでした。
 
 

■ Q-Assist


 
QB vol1-5まで購入すると「mediLink」からQ-Assistを閲覧可能になります。Q-Assistでは各動画10分程度、各分野10~15時間程度で押さえておくべき疾患の基本的事項・国家試験問題について解説されています(※あとでQ-Assist 個別で購入することもできることを知りました)。
 
私はこれを仕事の空き時間に少しずつ見て、約3か月かけて内科のほぼすべての動画を見ました。見るだけではなく、データ・マニュアルを併用して要点を書き込みつつ、なるべく記憶が定着するようにしました。Q-Assistの動画は非常に面白く、臨床をある程度経験してから見ると、また違った味わいがあってたいへん勉強になりました。ほか、暇な時間にQB onlineで問題演習を少しやりました。
 
自分の専門以外の内科疾患を幅広くもう一度復習できたことは、今後の臨床に役立つと思いました。
 
※Q-Assist 講師の清澤先生が面白くてオススメです。
※ゆっくり見ると、全部見終わるまで3か月程度かかりました。
※上の画像のように各分野の進捗がグラフでわかるようになっているのでやる気が出ます。
 
 


■ 試験の手ごたえ

Q-Assistで清澤先生が強く主張していたポイントがそのまま出題される問題が結構あり、そういった問題は一瞬で解くことができました。
 
普通に国家試験の勉強をすれば、そのまま認定内科医試験対策にもなると思います。
 
全体的に完璧にできた!という手ごたえはありませんが、合格点には達しているのではないかな??と思っています。
 
Q-Assistで説明されていない知識が問われた問題もいくつか見られたので、掘り下げたい疾患はイヤーノートで知識を補足しておくといいかもしれません。
 


■ そのほか

60分と40分の休憩時間はわりとヒマなので、荷物に余裕があればイヤーノートなどを持って行って読むと良いヒマつぶしになります。
 


■ 試験の結果(2019年9月15日:追記)

合格しました。

認定内科医試験結果
 
なんとか全分野で平均値は上回ることができましたが、苦手分野の内分泌、呼吸器、膠原病はやっぱり低くなってしまいました。
今後も継続してちゃんと勉強したいと思います。
 
ほぼまっさらの状態から約3か月の勉強でこのくらいなので、普段から勉強している人やもっと時間を作ることができる人は、もっといけると思います。
 
 
 
 
イヤーノート 2022 内科・外科編

イヤーノート 2022 内科・外科編

  • 発売日: 2021/03/05
  • メディア: 単行本