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【認定内科医試験】日本内科学会 認定内科医試験 過去問題集(第1集)の解答・解説【非公式】

消化管

問題1:進行食道癌の症例。

〇 (a) 食道癌の危険因子は、加齢、喫煙、アルコール、熱い食事の嗜好、肥満など。
× (b)
× (c) 活動性の出血はなく、止血術の適応ではない。
× (d) 進行食道癌にPPIは有効ではない。
× (e) 内視鏡所見上、進行癌のためESDの適応とはならない。
 

問題2:胃潰瘍の原因について。

〇 (a) 抗コリン薬は原因とはならない。
× (b) H.pyloriは胃潰瘍の二大原因のひとつ。
× (c)
× (d) NSAIDsは胃潰瘍の二大原因のひとつ。
× (e) ガストリン過剰分泌のため胃酸過多となる。
 
胃潰瘍は、H.pyloriとNSAIDsが二大原因。
攻撃因子を増強させるもの:NSAIDs、インスリン、ヒスタミン、Zollinger-Ellison症候群、副甲状腺機能亢進症など。
防御因子を減弱させるもの:ストレス、慢性肺気腫、肝硬変、関節リウマチ、低栄養、腎不全、糖尿病、NSAIDs、ビスホスホネート製剤など。
 

問題3:逆流性食道炎の治療薬について。

× (a)
〇 (b) カルシウム拮抗薬はLES圧を低下させるためGERDは増悪する。ほか、硝酸薬もLES圧を低下させる。
× (c)
× (d)
× (e)
 
内視鏡画像はびらん性GERD(逆流性食道炎)。治療には、①生活指導(禁煙・肥満の是正・就寝時上半身挙上・食直後の前屈位の回避・就寝前の食事・アルコール・高脂肪食・過食の回避など)、②薬物療法(PPI、P-CABなど)、③外科的治療(噴門部形成術:Nissen法、Toupet法)。
 

問題4:萎縮性胃炎について。

× (a) PFD試験は膵外分泌機能検査。慢性膵炎や膵癌で低下する。
× (b) 食道内圧試験はアカラシアなど、食道運動機能の低下する疾患を評価する。
〇 (c) H.pyloriの感染の有無を評価する。
× (d) pHモニタリングでは胃酸の食道内への逆流の有無や頻度・時間を評価する。
× (e) ツベルクリン反応は結核菌や非結核性抗酸菌症で陽性となる。
× (f) リンパ球刺激試験(DLST)は薬剤アレルギーのうちⅣ型アレルギーをみる。
× (g) α1アンチトリプシン法は蛋白漏出性胃腸症の検査。腸粘膜からの蛋白漏出の程度をみる。
× (h) 抗ミトコンドリア抗体はPBCで陽性となる。
 

問題5:小腸から分泌されるホルモン。

× (a) レニンは腎臓の輸入細動脈の壁にある傍糸球体細胞から分泌される。
〇 (b) セクレチンは小腸粘膜で合成される。膵臓からの重炭酸塩の外分泌を亢進させる消化管ホルモン。
× (c) ガストリンは胃の幽門前庭部に存在するG細胞から分泌される。
× (d) グルカゴンは膵ランゲルハンス島のA細胞(α細胞)で合成、分泌される。
× (e) カルシトニンは甲状腺の傍濾胞細胞から分泌される。
 

問題6:NSAIDsによる小腸潰瘍(NSAIDs起因性小腸傷害)。

× (a)
〇 (b) NSAIDsによる消化管障害はシクロオキシゲナーゼ(cyclooxygenase: COX)の活性阻害によって発生する。治療の基本は原因薬剤の中止。
× (c)
× (d)
× (e)

問題7:消化管の蠕動促進作用のある薬剤。

× (a) 蠕動抑制。
× (b) グルカゴンは貯蔵燃料を動員する異化ホルモン。肝での糖新生を促進する。
〇 (c) 蠕動促進。
× (d) ポリカルボフィルは体内非吸収性の過敏性腸症候群の治療薬。
× (e) 蠕動抑制。

問題8:S状結腸軸捻転症。腹膜刺激症状なし。

× (a) 捻転解除に成功しても再発が多い。
× (b) 高齢男性、老人ホーム、精神科病院などに入居している患者に多いとされる。
〇 (c) S状結腸軸捻転症に対しては、腸管壊死がなければ内視鏡的整復が基本。
× (d)
× (e)
 

問題9:過敏性腸症候群の診断基準。

× (a) 便潜血は陽性にならない。
× (b) 発熱や関節痛は伴わない。倦怠感、不安、頻尿、動悸などの症状を伴うことはある。
× (c) 若年、女性に多いとされる。
× (d) 腸管に器質的病変はみられない。
〇 (e) ROMEⅣ基準では、①排便によって症状が軽快する、②発症時に排便回数の変化がある、③発症時に便形状の変化がある、が診断基準としてある。
 

肝臓

問題10:「アルコール性肝硬変」で低値を示す血液検査項目。

× (a) γ-GTPは高値となる。
× (b) AST/ALT比は高値となる。
× (c) γ-グロブリンは高値となる(血清蛋白低下の代償などが原因として考えられている)。
〇 (d)
〇 (e)
 

問題11:経口感染する肝炎ウイルス。

〇 (a) A型肝炎ウイルスは経口感染。
× (b) B型肝炎ウイルスは非経口感染(垂直感染、水平感染(性交渉・針刺し・輸血など))。
× (c) C型肝炎ウイルスは非経口感染(血液や体液)。
× (d) D型肝炎ウイルスは非経口感染(血液や体液)。
〇 (e) E型肝炎ウイルスは経口感染。
 

問題12:門脈圧亢進症の症状。

× (a) 奇脈:吸気時の収縮期血圧低下が 10 mmHg 以上となり,小脈となる現象。心タンポナーデ、緊張性気胸、収縮性心筋炎、左室肥大、心不全などでみられる。
× (b) 手掌紅斑:肝障害によって血中のエストロゲンが増加した結果、毛細血管が拡張して起こる。
× (c) 希発月経:月経周期が延長し、39日以上3カ月以内で起こる月経。
× (d) 下肢静脈瘤:生活習慣や加齢など、逆流防止弁の機能障害。
× (e) 女性化乳房:アンドロゲン作用低下または エストロゲン作用上昇によって起こる。
× (f) 頸静脈怒張:右心不全の徴候。
× (g) クモ状血管腫:妊娠中のエストロゲン上昇や肝硬変時のエストロゲン不活性化減少などによる。
〇 (h) 腹壁静脈怒張:門脈圧亢進の結果、側副血行路(臍の周りの皮下静脈)が発達する。
 
全182問。
少しずつ書き足していきたいと思います。