【書評】 ER・ICU診療を深める救急・集中治療医の頭の中【感想】

大津市民病院の小尾口先生が書かれた救急の本です。
数ページをパッと見て、面白そうだと思って衝動買いしました。

オススメ度　★★★

1. 内容

小さくコンパクトです。「シンプルに考える、イージーに考えない」の帯が目を引きます。内容は大きく7パート「診断」「外傷マネジメント」「循環マネジメント」「呼吸マネジメント」「DICマネジメント」「死亡診断・死体検案」「しってるつもり」に分かれています。基本的には症例ベースの読み物（1症例ごとに語りかけるような文体で解説）になっています。救急医の立場から、参考文献を明示したうえで様々な意見が記載されています。血液培養検査の解釈、DIC診療、死亡診断書の書き方など、突っ込んだ内容にも踏み込んで解説してあります。

2. 本書の特徴

① 症例ベース
　症例ベースで読み進めやすく理解しやすい
② 突っ込んだ解説
　参考文献を明示したうえで様々な筆者の意見が記載
③ 面白いコラム、クイズ
”なるほど”と唸るようなコラムやクイズが多数

3. おわりに

筆者の豊富な経験が整頓され一冊の本となっています。シンプルな事象から難解な病態が生まれていることを頭の片隅に置いておくようにしたいと思わせてくれる良著です。個人的には診断と循環マネジメント、呼吸マネジメント、DICマネジメントの項目がとても勉強になりました。救急の本は純粋な読み物としても面白いですね。